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コロワイドVS大戸屋の買収戦争を解説します。

先日、定食チェーンを展開する大戸屋ホールディングスの株主総会で、筆頭株主であるコロワイドが連結子会社化を見据えて経営陣の刷新を求めた株主提案を否決したことが話題になりました。

今回は、コロナの影響で飲食業界が大変な中、あえてコロワイドが大戸屋を“買いに走った”のかを解説します。

 

ちなみに、コロワイドという会社は、M&Aで事業拡大していて、かっぱ寿司や牛角ななどを傘下にしていて、売上高では外食産業4位の位置づけです。

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大戸屋の歴史を簡単にまとめると、

  • 国内で350店舗を運営する国内最大の定食チェーン
  • 1958年に東京・池袋の「大戸屋食堂」として三森栄一氏が創業
  • 1979年に長男の久美氏が引き継ぎ、店舗拡大を進め2001年に上場

 

今回の買収騒動の時系列です。

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大戸屋は 2016年に「会社側」と「創業家」の経営方針をめぐる“お家騒動”が勃発して、結局、2019年に創業家側の智仁氏とその母親の株18.67%をコロワイドに売却しました。

 2020年3月のアンケートに関しては、「9割以上が賛同」としていますが、実際は、このコロワイド側のアンケートに答えると3000円相当の食事券がもらえたため、大戸屋側からは、「卑怯な手口」という声も上がっていたそうです。

 

大戸屋の前期の決算は経常利益で5億6000万円の赤字になっています。

一見、コロナの影響で仕方ないと思いがちですが、実は20年3月まで既存店売上が14カ月連続で前年割れという数字も出ています。

コロナの影響は当然ありますが、それ以前に経営自体が厳しい環境にありました。

 

一方のコロワイドも、コロナの影響を受けていて居酒屋業態を中心に不採算店196店を閉店すると発表したのは記憶に新しいところです。

ただ、この閉店に関しては、居酒屋依存からの脱却を考えての実行のようです。最近だと、売上全体に占める居酒屋の割合が20%になっていますので、今回の閉店でより低下することでしょう。

ちなみに2020年3月期の最終損益は64億円の赤字(前期は6億3200万円の黒字)に転落しています。減損損益は106億円計上。(コロナによる将来的に収益性が低下すると予想される店舗も含む)

 

 しかし、コロワイド側は、コロナの影響が出ている状況でも大戸屋が欲しい理由があります。

理由①:新たに立ち上げた給食事業

・少子高齢化などを背景に、介護施設や病院などにおける給食市場が拡大すると予測し参入。そこで、大戸屋の“定食屋”としてのブランドとノウハウが欲しい。この給食事業は、将来的に1000億円を目指す。

 

理由②:セントラルキッチン方式で収益の改善

・コロワイド側の人材の供給や原材料の調達、セントラルキッチンの有効活用で大戸屋の収益を改善。

 

理由③:コロナで大戸屋のフランチャイズ店離脱を食い止める

・大戸屋の国内店舗の3分の2はフランチャイズ。コロナの影響で、フランチャイズ店が離脱をすると、フランチャイズ店からの流通収益(食材の販売)やロイヤリティが減ると慢性的な赤字に陥るため。

 

理由③が一番大きいと思います。コロナの影響でフランチャイズ店が3割離脱するとさらに収益が悪化するので買わない可能性もあると予測します。

今であれば、手元資金が600億あるコロワイドは、離脱しないようにフランチャイズ店を支援できるのが大きいですね。

 

そして、理由②にあるようにこの2社の経営手法はまるで違います。

コロワイド・・・セントラルキッチン方式*

大戸屋・・・・・店内調理

 

*セントラルキッチンとは、大量に材料を仕入れ、まとめて加工することでコストを削減し、その後各店舗に食品を配送。各店舗では、店内調理を減らして店舗スペースと人員を有効活用する方式。

 

大戸屋の“店内料理”に関しては、「お母さんの手作り料理をお値打ち価格で、お客様に」という言葉を大戸屋の原点としてるため、このM&Aが成功してしまうと、根本から理念自体が崩れる可能性もあります。

 

しかしながら、大戸屋の店内調理方式に関しては疑問を感じます。

店内調理は大戸屋の創業以来のこだわりですが、昔と違い今は人件費も高騰していますし、材料費も高くなっています。

『20年3月まで既存店売上が14カ月連続で前年割れ』という事実がある今、今後の環境改善をするよりも、現環境に適応できるよう変化にチャレンジするべきような気がします。

 

今回の株主総会では、筆頭株主のコロワイドが連結子会社化を見据えて経営陣の刷新を求めた株主提案が否決されました。大戸屋側の取締役選任案は承認され、約6割を占める個人株主らが現経営陣を支持した形になりました。今後、コロワイド側は、敵対的な株式公開買い付け(TOB)にするのか、注目ですね。

 

株式投資をしている人は、『大戸屋』と『コロワイド』をお気に入り銘柄に入れておいても面白いかもしれません。

ちなみに『大戸屋』は既に上がっています(笑)コロワイド次第では、“売り”もあり得ますね。

 

 時代は変化しています。そして、変化のスピードが速いです。

現状維持だと、時代にドンドン離されてしまいます。

“こだわりを守る”ことで会社が守れれば言うことないですが、変化に対応するには、“こだわりを捨てる(見直す)”ことも大事ですね。

 

 

 

 

 

 

なぜ、老後資金に2000万円が必要なのかをお答えします!

よくネットや報道で「老後資金2000万円」問題のことが書かれていますが、実際2000万円の根拠って知っていますか?

 

今回は、2000万円の根拠についてお答えします!

 

そもそも、金融庁が長寿によって会社を定年退職した後の寿命が延びるため、95歳まで生きるには夫婦で2000万円の金融資産の取り崩しが必要になるとの試算を示したのが発端です。

 

まずは、高齢夫婦の収入と支出を見てみます。

下記の図は、厚生労働省から出ている資料です。

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この資料を元に老後の必要資金を整理すると、下記のような計算になります。f:id:lidix:20200625112718p:plain

約1300万円~2000万円は必要という結果になります。

 

実際の高齢者はどのように対応しているかは、2017年金融庁の資料から導き出します。

  • 2017年の高齢夫婦無職世帯の平均純貯蓄額2484万円
  • 2017年の定年退職者の退職給付額は平均1700万円~2000万円程度

になるので、今は貯蓄額を考慮し、「毎月5万5000円を切り崩しながら生活している」となります。

つまり、多くの高齢者が退職後の生活において、主に年金と退職金でやりくりできているという事実が分かります。

 

しかし、これから先のことはどうなるのか・・・?

そのことをふまえて金融庁は警告音をならしたのではないでしょうか。

 

現状に比べて将来、老後資金が不足する原因として考えられること

  • 寿命が延びると推測される
  • 退職金が減少傾向
  • 年金支給額が減少すると推測

が主に考えられます。

 

また、さらに注意しなくてはならないこともあります。

再度、上記の高齢夫婦の収入と支出をみて下さい。

支出データのうち“住居費”は月1万4000円となっています。

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この住居費1万4000円という安さは、現在の高齢者夫婦の持ち家率が高い世代のため、住宅ローンもすでに終わっているのではと予想されます。

 

たまに雑誌とかでも、『持ち家か?賃貸か?どっちがお得?』という議論が多くされていますが、生涯賃貸住宅に住むと決めている方は、将来の支出(1300万~2000万)に家賃分を更に上乗せする必要があることを考慮した方がいいでしょう。(住宅ローンが65歳以上も続く可能性がある人も同じです。)

 

そこで、金融庁の報告書よると主に以下のことが書いてあります。

  1. 適切なライフプランを立てること
  2. 自助の充実
  3. 資産寿命を延ばすこと

としています。

ちなみに、2の「自助の充実」とは、自分が望む生活水準に対して、必要となる資産や収入が足りないと予想される場合、状況に応じて就労継続の模索、支出の再点検などの「自助」の充実を図ることが必要とのことです。

 

このような内容を公表するということは、結局、老後は年金などに頼らず「自分のことは自分でなんとかしろ」と言われているようでもあります。

 

さらに、今回の新型コロナの影響もプラスして、今後は大規模なリストラも考えられますし、日本の企業風土であった終身雇用も難しくなってきています。

今こそ、家計の“資金繰り”を見直し、少しでも余剰資金を作って投資などに回す必要があります。

投資といっても、株式投資や不動産投資等ばかりではありません。

自分のスキルアップのためにお金をかけるのも、自己投資です。

 

 

将来が不安な今、もう一度『お金の使い道』を考える必要がありそうです。